夢現無双 / クルンテープを見てきた話

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月組公演「夢現無双 / クルンテープ」を見てきました。

 


 「夢現無双」

初日に見に行かない(行けない)作品に関してはむしろ人の感想等を調べてから見に行く派なんですけど、それを見てると「よくわからなかった」というのを見かけて話に付いていけなくなったら困るなどうしよう…と思いながらも原作の予習をしていきませんでした(おい)


実際にお芝居を見て思ったのは、『忙しい人のための「宮本武蔵」』(この言い方懐かしいね~~笑)

幼少期からを90分程度でまとめようとしたらそりゃ駆け足になるよね…積み上げて、積み上げて、来る…ここで盛り上がりがくるぞ…!キターーー!
…ってアレ?もう盛り上がり終わっちゃったの??ってちょっと物足りない感、が第一印象。何より巌流島の戦いが一瞬すぎない???あそこが大一番になるんじゃないの?????そのために、他の場面はカットして切り詰めまくって「忙しい人の~」になるんだろうなと思ってたのにそりゃないぜ!!!!!(むしろ吉岡道場の場面が大一番感あるよね)と初見では思った。

そこから2週間くらい経ってもう1回見てみたら芝居の密度(めっちゃニュアンス語)が上がってて、駆け足なことには変わりないけど断然面白くなってきたな~(ということはやはり面白いのはお芝居であって脚本ではない…?)(逆に言えば時間の経過とともにクオリティが変わるってことだから、最初の頃に見た人はそりゃつまかなかったっていう人もいるだろうな~という気はした)

武蔵の一生を描きつつ、お披露目とか退団とかその他いろいろを盛り込もうとしたらまあね~~~作る方はめちゃくちゃ大変なんだろうなというのはひしひしと伝わってきました(笑) そういう「いろいろ」がとくにない時の公演だったら、いろんな役にそれぞれ見せ場があって面白かったな~で終われたんだろうけど…
って思ったんだけど、脚本を作る段階でお披露目やら退団やらって知らされてるものなんですかね?最初から聞いてるとしたらそもそも演目も違ったんじゃ…?と思うけどそこはとくに加味されないのかな?わかんないけど。

 

なぜ今この作品…?と思ったけど「トップスターありき」の原則に照らせば納得といったかんじの珠城武蔵。いつもよりさらに声を低く、かつぶっきらぼうさを出すためと思うんだけど若干の棒読み?感(「俺を殺せー」とかね)がちょこっと気になった。初期武蔵のケモノ感(だから棒読みっぽかったのかな)といい、「宮本武蔵」と聞いた時にイメージする(広い意味での)「大きさ」はぴったりだなーと思いました。

美園お通はお披露目なのにこの役回りちょっとかわいそう…と思ってしまったけど、武蔵を慕うかんじがぴったりだなと思いました。お顔とかイメージは派手寄りなのに、お慕い芸がハマるかんじって不思議だよな~~ あとやっぱり歌声がきれいなので次のIAFAでは歌が楽しみだな~

美弥小次郎は出番を時間で数えたら少ないけどあの匂い立つ存在感…!出てくるたびに我々の心に爪痕残していかれますよね、出番少ないけど(大事なことなので2回言います)巌流島で武蔵と対峙した時の腰を落とした構えの脚がめちゃくちゃ好きなんですよ~(伝わるのかわからない細かい好きポイント)太夫とのしっとりとした大人な絡みがよかったな…はぁみやうみ… というか武蔵とお通がすれ違ってばっかりで恋愛色薄めな分、小次郎と太夫にもしかして~~!?って期待しちゃう(せざるを得ない)

そんな(勝手にお相手と思っている)海乃太夫はほんとに素敵で出てくるとガラッと空気が変わる。「情けひとつに生きられて…」の目がすんごいんですよ、深い哀しみの虚空なんですよ。ライビュだと一瞬で画面切り替えられてしまったのが残念。

途中から代役になったけど月城さんの又八も見れたんですよ!素顔のれいこさん見るとものすごく「ちゃんとした人」というイメージなんだけど、なんだってあんなにヘタレキャラがハマるんでしょ…月城又八はヘタレなんだけど愛嬌があって、だから何だかんだ一生食うのに困らず生きていきそうな人だよな~と思って見てた。

風間又八もよかったな~というかあの学年で新公の役でもないのに代役任されるってすごいことだよね…月城又八に比べるとビッグマウスをより強く感じるというか…陽キャのおバカってかんじ(褒め言葉だからね)の憎めないキャラクター。準備の時間そんなにないだろうに月城さんとは違う又八を作ってくるんだからとんでもない人だなと。

光月沢庵さん良い味してるよね~ なんていうか真人間ではない、けど大悪党ではないし人間だもんそういうとこあるよね~みたいな絶妙に憎めない感が好きで見ちゃう。ただ出てくる場面ごとに言うこと違うというか武蔵に対するスタンスがよくわからなくて(演者のせいではないよな)初見では途中まで「ん?この人が黒幕なの…?」と思ってしまった笑

あとさ、お杉婆・おっ父・日観の老人三人衆(いま命名した)みんなめちゃくちゃ上手くない…?ってびっくりしちゃった。メイクもあるだろうけど顔の肉の垂れ具合と声が素晴らしく老人だ~~

晴音阿国がすごい好き~~!物語上すごく重要な役ってわけでもないけど、逆に途中から物語の進行役にもなっててその台詞回しのお約束感というか、あ~~こういうのあるよね~~ってかんじでよかった(伝われ)
(それにしても、「ついに両雄~」のところでよりによって芸達者な2人が「よっ!大根役者!」って言われてるのメタネタとして笑いどころなのかな?w)

ものすごい傑作!最高!というかんじではないけど、それぞれのキャラが立っててお芝居が面白くて何だかんだ楽しんで見れました。

 

 

 クルンテープ

なんでタイ…?って最初は思ったけど結果見たらこのショー好き!なぜならタイが好きだから!!!ってなった笑
王室モチーフがあって、ムエタイ、ニューハーフ、水上マーケットにナイトクラブにポールを使わないポールダンス(めっちゃリアルw)タイに行ったらだいたい組み込まれてそうなところがバッチリ押さえてあってもはや「見る旅行」や~~と楽しんでみました。あーーータイに行きたい

タイに行きたい欲が高まりすぎて数日中にタイ料理を食べに行った笑 カオソーイ大好き。今度1日限定で社食メニューになるらしい。普段行かないけど食べに行こうかなと思うくらいには好きw

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一番好きな場面は、ブーア(蓮の花)
(名前を確認するためにパンフ見たら、その前の水上マーケットの場面も同じ名前なんだ~というどうでもいい気付き。この場面歌がうますぎて思わず笑ってしまった)

あの世界観がいいよね…よく意味はわかんないけどショーはそういうものだよねと思ってるからオールOK。踊ってる2人も、舞台セットも後ろで歌ってる3人娘も含めて好きな世界観…あくまで男性的な雰囲気の珠城さんと中性的な空気感を纏う美弥さん。脚をひゅっと上にあげて下ろすフリの時の美弥さんの脚の上げ下ろしがめちゃくちゃ美しいんですよ…という細かい好きポイント。

輝月さんの歌唱力…!(チューチャート)広い音域も朗々と歌い上げていてほんとに芸達者だよね~~… 雨唄見られなかったので見たいなぁ。

今回のショーで人がいっぱい出てるシーン(もうちょっと言い方ないんか…)では晴音さんを追いかけてました、というか見渡すと自然とそこで目が留まるかんじ。ニコニコ笑顔で踊りがキレキレなのが素敵でかわいい~~~

あと美弥さんがせり下がってせり上がって郡舞に合流する流れ、めちゃくちゃよかった。その時の珠城さんと微笑み交わし合いながら入っていっていくところを見ると、この2人で多くの時を過ごしていろいろなことを乗り越えて、この2人にしかわからない世界があるのだなーー…と思って気付いたら涙がこぼれてるみたいな。

もっと他にもいろいろあるけどショーって一瞬で終わるじゃん???もう1回見るとこのシーンだ!めちゃめちゃ好き!!!ってなるけど、ショーが終わると頭から抜け落ちちゃうんだよなトリ頭だからさ…

ただお芝居もショーも楽しんだ気持ちとは別に休演されてる方が多くて心配…休演してる方々が一日でも早く回復されますように…(回復はしてほしいけどこの機会にゆっっっっくりと休養してほしいまじでという気持ちを込めて)

 

 

 

そして美弥さんのサヨナラショー見るために東京楽をライビュで見てきました。

ムラでの時もそうだったみたいだけど、やっぱり光月組長のメッセージが…あんなの泣いちゃうでしょ…他の退団者3人へのメッセージもそれぞれ温かくて泣いちゃうね…会場からいつもと違う音が聞こえる…?これ泣き声(というか嗚咽)だ…!の衝撃。いつもの笑い声とかと同じくらいのボリュームでこの音が聞こえてくるということは…(推して知るべし)

その涙と嗚咽を光の速さで引っ込めさせるサヨナラショーの幕開きがBADDYて!初めて見た月組が「カンパニー / BADDY」だったな~なんてことを思い出したり、ラストの「Everything for love」でショー休演のうみちゃんが出てきて「アンナ・カレーニナ」の感動再び…!ていうかみやうみ…みやうみ……あぁみやうみ…って語彙力喪失したり…ここにれいこさんがいないなんて…(ゆっくり休んでください!!!!)素敵なサヨナラショーだったなぁ。大劇場の0番にいる美弥さんに何の疑問もないというか、よっ!待ってましたーー!という気持ちが溢れて…やめるのやめない!?と何度思ったか…到底ファンと呼べる程ではないけれど、好きか嫌いかでいったら当然好き(というかこの2択で後者選ぶ人いる!?!?)な身からしてもやっぱりさみしいよ~~~~というのが素直な気持ちで、二番手になった方は次にトップになる方なのだと思っていたので発表は衝撃的でした…オブラートに包まず自分の欲望のみをストレートに言えば「アンナ・カレーニナ」の美のトリデンテを大劇場で、別の作品で見たかったな!!!!!! 

最後の最後で、緞帳前に珠城さん・美弥さんが出てきた時はよくわからない気持ちになった。やったーーと、よくやってくれた!と、怒られないのかな…?と、みんなよかったね(どの目線からなの???)と全部混ざったぐちゃぐちゃな気持ち…あのやり取りを見てると2人にしかわからない世界があるんだなーというのが伝わってきます。沢山の人に幸せと優しさをいっっぱい与えてくださった美弥さんの今後の人生が幸せと優しさでいっっっっぱいでありますように!!!!!!

 

 

…というところまで書いて下書きに放置していたら、退団後の活動がいろいろ発表されましたね~ ILM別の目当てで行くつもりだったんだけどチケ取りすごいことになりそうだよね。おめでたいことだけれども怖いな~~ 頑張りましょう。